研究


樹状細胞(DC)は、免疫監視機構の中枢に位置し、生体防御機構における恒常性の維持に働く。DCシステムの乱れは、炎症疾患の病態発症の起点となり、また進展に働く。1990年代当時、ヒトにおけるこのパラダイムの証明は皆無であった。1999年に当科において、ヒトの末梢血にはミエロイド系DCとして2つの亜群とリンパ球系DCの計3つの亜群が存在することを明らかにし、これらの亜群を高純度に純化・単離する手法を確立した。以来、この方法を駆使した教室のDC研究は、膠原病・結核・移植に伴う急性および慢性GVHD・サルコイドーシスなどにおけるDCの動態を明らかにし、さらに免疫抑制剤の作用機序を新しい観点から明らかにしてきた。現在は、アレルギー疾患や悪性腫瘍などの難治性疾患に対する免疫療法の開発に向けた研究が進行している。